期待値以上、という言葉では足りないほど、想像を大きく超えてきたドラマでした。
は2021年放送作品ですが、私が今年見たドラマの中では間違いなく一番面白かったです。
展開はまったく読めず、何度も裏切られ、疑っては信じ、信じては疑い…。
まさに寝る間も惜しんで一気に見たドラマでした。
見終えた後の余韻もすさまじく、しばらく頭から離れません。
ネタバレあり。ご注意ください。
作品情報
原題:로스쿨
邦題:ロースクール
放送年:2021年4月14日~6月9日(JTBC)
話数:全16話
キャスト:キム・ミョンミン、キム・ボム、リュ・ヘヨン、イ・ジョンウン、アン・ネサン、キル・ヘヨン
配信:Netflix(2025年12月時点)
国内屈指の名門ロースクールで発生した、不可解な事件。司法制度とは一体何か。真実を追い求める教授と野心あふれる学生たちが大きな問いに挑む。
Netflix
感想
名門ロースクールで起きた殺人事件
名門ロースクールで教授が死亡する衝撃的な事件から始まる。
第一話で、アン・ネサン演じるソ教授が謎の死を遂げ、キム・ミョンミン演じるヤン教授が殺人容疑で逮捕・起訴される展開に。
誰が誰だかわからぬうちに、死人も逮捕者も出てしまった~。
しかし、怪しいのはヤン教授だけではない。
その場にいたロースクール生全員が、どこか怪しく見えてくる。
犯人は誰なのか?本当にヤン教授が殺したのか?
それとも、学生の誰かが関わっているのか…。
この疑念が、ドラマの最後まで緊迫感を保ち続ける。
ロースクール生たちは、感情的になることもなく、ただただ証拠と因果関係を追及していく。
たとえ自分が犯人ではないかと疑われても、動転し強く否定することもない。
だからこそ、前半は、常にみんなが怪しく見えて、不安を生み、見ている側は常にハラハラ。
ハン・ジュニも一時犯人として疑われるも、特に強く否定しないため、一気に怪しさが増す。(あえて強く否定しないことに意味があったなんて!)
この静かな疑念の積み重ねが、緊迫感を醸成していると思う。
先が読めない展開に、何度も裏切られる
話が進めば進むほど、不可解な謎は増え、怪しい人物も増え、全員が何かを隠していることが判明する。
検察は、ヤン教授を犯人に仕立て上げようと、次々と不利な証拠を突きつけ躍起になる。
序盤は、ヤン教授本人は明確に犯行を否定することもなく、黙々と裁判を受け入れるから、ヤン教授が殺したとは思えないと感じながらも、その態度に疑念が煽られていた。
そして、物語が進むにつれて、ロースクール生一人ひとりのバックグラウンドが明らかになる。
彼らは皆、過去に問題を抱えていたり、簡単に公にできない秘密を抱えている。
そのため、ヤン教授が犯人ではないことを明らかにできる証言ができる立場なのに、その事情によって証言できない、というねじれた状況が生まれていく。
あらゆるところで利害関係も発生し、登場人物たちの関係性は複雑に絡み合っていく。
見ていて混乱するけれど、この利害関係を手玉に取ったり、裏の裏をかいたり、とにかくお見事!
アン・ネサン演じるソ教授|死んでもなお物語を支配する
第一話であっけなく死亡している、アン・ネサン演じるソ教授。
元検事で、弁護士に転向し、ロースクールに多額の寄付をして模擬法廷を作った功績者。
一見すると、功労者で人格者のように見えるものの、話が進むにつれ、次々と黒い事実が明らかに。
過去に賄賂を受け取った疑いがあり、贈り物として判決を受けるが、そのお金で寄付を行ったので、ただただ疑惑の人でもある。そして、ひき逃げ事件にも実は関与していて…。
さすがはアン・ネサン。第一話であっけなく死亡しているものの、最後まであらゆる場面に影を落とし続ける。
JTBC ソ教授
ヤン教授の本当の姿
キム・ミョンミン演じるヤン教授は、ソクラテス式問答法を用いた厳しい授業ゆえ「ヤンクラテス」と生徒から呼ばれている。
第一話での、授業でカン・ソルAを容赦なく詰めるシーンは、とにかく厳しく優しさのかけらもない教授の印象。あんな授業、怖くて参加できない~!
だけれど、話が進むにつれて、とてつもなく生徒思いだとわかってくる!
カン・ソルBが論文盗作を行ったこと、ユ・スンジェが試験問題をハッキングしていて、事件当日もヤン教授の試験問題をハッキングしに部屋に訪れ咄嗟にクローゼットに隠れていたので、ヤン教授のアリバイを証明できること…わかっているのに、決してヤン教授からは口にしない。
殺人事件の容疑者でありながら、生徒に不本意に罪を告白させることはしない(罪は罪だから告白すべきなんだけれど)。
証言するかどうか、すなわち罪を告白するかどうかは、生徒自身に委ねる。
その姿勢が、ただただ厳しいだけじゃない人柄とわかる。
また、イェスルのDV裁判でも、イェスル自身に状況を客観視させるため、授業のように事件を扱い、彼女自身でその事実関係の整理と問題提議をさせることで、冷静にさせ、勝訴へつなげた。
代わりに戦うことだけが彼女を「守る」わけではなく、自分の力で立たせることも「守る」ことであるのだと感じた。
正直、登場した最初は髪型が気になっていました😂
だって、襟足が長くて跳ねているんだもん。ぱっと見、癖が強い人でしかなかったよね。
JTBC ヤン教授
でも、そんなことはすぐにどうでもよくなる。
冷静で、頼もしくて、生徒思いで、ただただカッコいい!!
このドラマを最後まで見終えれば、完全にヤン教授の虜になった。
ミステリー×スクールドラマが見事に融合
このドラマはロースクールが舞台で、殺人事件を追うミステリーでもありながら、変わらず試験勉強もしなくちゃならないし、実習もあり、模擬裁判大会に参加し、就職活動もするという、ロースクール生の日常もしっかり描かれている。
こういったドラマは、ひとたび事件が起これば事件にだけ焦点を当てて他はおまけのようになりがちだけれど、このドラマはスクールドラマとしての側面も併せ持っていてすごい。
様々な要素が見事に描かれていて、圧巻だった。
カン・ソルAとハン・ジュニの関係性が尊い
カン・ソルAとハン・ジュニは、事件でも、勉強でも、模擬裁判でも、いつも一緒。
ハン・ジュニの視線はとても優しく、人柄も優しいから、二人が一緒にいるときは自然と穏やかな気持ちになった。
明確に恋愛として描かれることはなかったけれど、二人のなんとなく良い空気感に、二人の行く末があれこれと想像が膨らむ。
それぞれ検事、弁護士と違う道を進んでも、これからも支え合ってほしいなぁ。
JTBC カン・ソルAを見つめるハン・ジュニ
まとめ|緊張感と熱意が詰まった、最高の法廷ドラマ
最初から最後まで、緊張感が途切れない「ロースクール」。
法律用語が飛び交い、難しく感じる場面もありますが、それだけ本気で法律をベースに描かれたドラマだと感じたし、本当に面白かった。
最終回までがあっという間で、まだ終わらないでと願う気持ちで一気に見た。まさに、寝る間も惜しんで見た。
懸命に勉強するロースクール生たちと、きちんとした人を司法界へ送り出そうとする教授たちの熱い姿がいっぱい。
弱者を助けたい、法律をもって正義を尊ぶ熱意が詰まっていた。
見終えた後の余韻がすごい。とにかく、最高に面白いドラマだった。
恋愛要素が少なくとも良ければ、法廷サスペンスが好きであれば、おすすめです。
JTBC 左からハン・ジュニ、ヤン教授、カン・ソルA
OST
歌詞の無い挿入曲もこのほかどれもドラマの世界観を作り出していて、かっこいいです。
・We are – 이승윤(イ・スンユン)
・X – Safira.K → Youtube Music
・Scattered Pieces – 최정인(チェ・ジョンイン) → Youtube Music
・Monitus – 박정은(パク・ジョンウン) → Youtube Music
・Justitia – 김연정(キム・ヨンジョン) → Youtube Music
・The Judge – 윤채영(ユン・チェヨン) → Youtube Music




