韓国ドラマ「悪魔判事」｜感想｜作品情報｜OST

2025年11月17日2025年11月18日

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チソンが主演なら絶対面白いはず、という期待は裏切らなかった。
法律の限界、法律の必要性を痛烈に感じました。

後半ネタバレあり。ご注意ください。

作品情報

原題：악마판사（悪魔判事）
邦題：悪魔判事
放送年：2021年7月3日～8月22日（tvN）
話数：全16話
キャスト：チソン、パク・ジニョン（GOT7）、キム・ミンジョン、パク・ギュヨン、チャン・ヨンナム、キム・ジェギョン、アン・ネサン

出典：悪魔判事　tvN

あらすじ

仮想のディストピアの韓国を舞台に、全国民が参加可能なライブ法廷ショーが繰り広げられる、新感覚法廷ドラマ。

https://www.youtube.com/watch?v=1ZCXgj1YxMo

キャスト

※青字は役者名

カン・ヨハン（チソン）
示範裁判部裁判長

チョン・ソナ（キム・ミンジョン）
社会的責任財団

キム・ガオン（パク・ジニョン）
示範裁判部陪席裁判官

ユン・スヒョン役（パク・ギュヨン）
ガオンの幼馴染、広域捜査隊刑事
出典：悪魔判事　tvN

感想

チソンが2年ぶりのドラマ主演だったようで、今作もやっぱりチソンがカッコいいです。
チソンが出るドラマ、ハズレなしと思ってます。

そして、「未知のソウル」から引き続き、パク・ジニョンをここでもお見かけ。
それも「悪魔判事」を見るきっかけではありました。

すべての俳優さんの演技が素晴らしく、キャラクターが立っていましたし、見事にこの世界観が成立していました。

ちなみにこのドラマ、2021年夏に放送となると、ちょうどコロナ禍だし、東京オリンピックの時期と重なっているんですね。

チソン演じるカン・ヨハンが、最後の最後まで、悪人なのかどうかわからなかった！
だから、続きが気になってどんどん観ちゃう。

チソンなんだから、きっと悪人じゃないはずだとの願望を持ちつつ。
カン・ヨハンの悪人としての振る舞いや優しい顔つきなど、表情や口調が変幻自在で、悪人なのか善人なのか最後まで翻弄されました。

正義とは？

正義とは何かを考えさせられました。

このドラマの舞台では、法律で裁けない人たちを懲らしめたいという懲罰代行意識を、ライブ法廷ショーが見事に叶えてくれます。

実際、多くの人々が備える”普通”の意識、倫理観、道徳観と、法律で裁ける事象には乖離があって、法律の限界を感じますし、それはきっと法律家としても永遠の悩む部分でもあるのでしょう。（真っ当な考えの法律家であれば）

でも、果たして、法律を超えて、懲罰代行を実現できる世界は素晴らしいのか？と、仮想世界を見ることで考えさせられる部分もあります。

加えて、”正義”と考えるものが人それぞれあって、それぞれの正義が衝突することもあったし、その”正義”、”欲”、”世の不条理”が複雑に絡み合うことで、問題が複雑化します。

勧善懲悪で、悪人を懲らしめたからといって、はい、平和で理想的な世の中となりました、と終わりはしないところまで描かれていたのは、視聴者への問いかけのようですし、とても現実的でした。

公正な世の中のために

最後、カン・ヨハンの一件の反省を名目とした司法改革公聴会でのシーンがやるせなかったです。

公聴会参加者は、根本的な原因の検討を差し置いて、インパクトのある策で世論を落ち着かせようと、小手先の手を議論し始めます。

それを眺めていたキム・ガオンが、こう訴えます。

私たちは国民に任されて仕事をしています。
悔しい思いをする人や血の涙を流す人をなくすこと、他人を苦しめたら十分な罪を償わせること、
それが仕事では？私はそう思っています。

その仕事をせずに誰かが苦痛を受けたら、そうした苦痛がバケモノを生み出すのです。
人々の怒りにはそれなりの理由があります。
引用：悪魔判事

これを、「いいお話ですね、若い人の意気込みは尊重しましょう」と言いつつ受け流し、結局は小手先の策の議論に戻ってしまったので、ガオンの諦観の表情…。

言葉はその場で空しく響くのみで、誰の胸にも届かない。反省は活かされない。
見ているこちらも、ああ、結局はこうか…と現実を直視させられました。

打ちのめされたガオンは、それでもどうすれば良いか？と今後に奮起する様子が描かれていましたが、果たしてこのドラマの世界はどうなるのでしょうか。

現実世界においても、もちろん、誰かを懲らしめたから平和になる、という単純なものではありません。
だからといって、平和で公正な世の中のためには、それを実現するためにどうしたら良いか？を常に考える人たち、そういう世の中であってほしいと願い行動する人たちがいることで、実現に近づくものだと思います。

たとえ途方もない夢物語だったとしても。それに向かおうとすることは偽善でも無駄でもない。

ここで悪と戦った人々のように、それぞれが、それぞれの立場でできることに力を注ぐことの大切さを感じさせられました。